暑中見舞いと残暑見舞い

日本には、夏に季節の挨拶を手紙で送る習慣があります。それが「暑中見舞い」と「残暑見舞い」です。これらの挨拶状は、暑い夏の期間中に相手の健康を気遣うために送られますが、それぞれ送る時期や意味合いが異なります。

暑中見舞い

暑中見舞いは、梅雨が明けて本格的な夏の暑さが始まる7月中旬から立秋(8月7日頃)までの期間に送るものです。この時期は「暑中」と呼ばれ、暑さのピークを迎える時期です。暑中見舞いは、相手の健康を気遣い、暑さによる体調不良や夏バテを防ぐための励ましの言葉を伝えるために用いられます。

例文としては、「暑さが厳しいですが、いかがお過ごしでしょうか。どうぞお身体にお気をつけください。」などが一般的です。このような挨拶状を送ることで、相手との繋がりを大切にし、思いやりの気持ちを伝えることができます。

残暑見舞い

残暑見舞いは、立秋を過ぎてから8月末までの期間に送られます。暦の上では立秋から秋となりますが、実際にはまだ暑さが残っていることが多いです。この時期の暑さを「残暑」と呼び、残暑見舞いはこの残暑の中での健康を気遣うために送られます。

例文としては、「立秋を過ぎましたが、まだまだ暑さが続いております。どうぞご自愛ください。」といった内容が使われます。残暑見舞いも、相手の健康を気遣う優しい心遣いを示す手紙です。

まだまだ秋にはほど遠い気温が続きますが、8月から秋を意識した言葉のやりとりが自然と行われていたことがわかります。

インターネットが発達し、気軽に相手にメッセージを送ったり近況が伝えられたりする現代では、あいさつから夏の風情を感じる機会が減っているのかもしれません。環境の変化は、私たちが使う言葉にも影響を与えますね。